血糖値を下げる食べ物と食べ方
血糖値を下げる食べ物やGI値、血糖値を下げる食べ方について調べています。
血糖値に役立つGI値
血液の中に糖分が多く存在する状態を指す「高血糖」。この状態が続くと糖尿病が発症してしまいます。健康な人の体内でも、食後には血糖値が上昇していますが、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンが、血糖値のバランスを整えてくれています。
しかし、高血糖状態が続くとすい臓が疲弊し、その分泌率が減ってしまうのです。こうなると糖尿病へまっしぐら。血糖値を下げる、または上げ過ぎない食生活を考えることが大切です。ここで留意したいのが、GI値。
GI値とは
GI値とは、体内に取り込まれた食品が分解され、糖に変わるまでのスピードを表した数値のことです。GI値の高い食品は、血糖値を上昇させやすく、逆にGI値が低ければ血糖値の急上昇を抑制してくれるのです。
GI値の高い食品を避け、GI値の低い食品を積極的に選び、すい臓への負担を減らしていきましょう。ここではGI値の高い食品、低い食品を調べてみましたので参考にしてください。
GI値の低い食べ物
炭水化物 | そば、小麦全粒粉パン、玄米 |
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野菜 | ブロッコリー、きのこ、ピーマン |
果物 | リンゴ、いちご |
乳製品 | 牛乳、ヨーグルト、チーズ |
GI値の高い食べ物
炭水化物 | 白米、パン |
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野菜 | にんじん、かぼちゃ、じゃがいも |
果物 | パイナップル、バナナ、マンゴー |
乳製品 | アイスクリーム、生クリーム |
特に注意したいのが、糖分の多い炭水化物。白米よりは玄米、パスタやうどんよりはそば、そして普通のパンより小麦全粒粉パンの方がGI値は低くなっています。可能なものから切り替えて、すい臓への負担を減らしていきましょう。
血糖値を下げる食べ物
下記では血糖値を下げるのに有用な食べ物をご紹介いたします。
ライ麦パン
- 固いため自然と咀嚼の回数が増えやすい
- 食パンや菓子パンよりもGI値が低い
という2つの強みを持つ、血糖値を下げる食べ物がライ麦パンです。パンが好きで、普段からよくパンを食べている人の場合、パンを低GIのものに置き換えることをおすすめします。
例えば、代表的な菓子パンであるあんぱんのGI値は、100グラムあたり95、食パンでも91になります(精白米100グラムのGI値は84)。高GI食品ばかり食べていると、血糖値の上昇は避けられません。
その点、ライ麦パンのGI値は58。全粒粉のパンよりは少し高いですが、十分低GI食品といえる数値です(※注1)。
また、ライ麦パンはフランスパンのように固さがあることから、よく噛んで食べる習慣をつけやすくなっています。腹持ちもよく、一般的なパン屋等でも手に入る入手性のよさも魅力です
酢の物
パンではなくご飯派の方におすすめしたいのが、酢の物。先ほど酢や油は血糖値対策品として紹介しましたが、実は白米と酢の物を一緒に食べると、食後の血糖値上昇が抑えられるとわかっています(※注2)。
GI値が高い食べ物であっても、食品の組み合わせによっては血糖値の急上昇を気にすることなく食事を楽しめるのです。
酢を単体で料理に加えるのは少し難しいですが、酢の物なら味の相性も組み合わせも悪くありません。
オートミール
日本ではあまり一般的ではないものの、血糖値を下げる食べ物として主食の置き換えに便利なのがオートミールです。オートミールは、麦の仲間である「えん麦(燕麦)」を加工してつくった食べ物で、お湯や水でふやかしてから食べる食品となっています。
オートミール自体には味がついていないため、牛乳や砂糖、シナモンなどを使って甘い味付けにすることもできるほか、スープやお茶漬けの素と合わせたしょっぱい味付けにして楽しむことも可能です。
オートミールのGI値は55と非常に低く、お米や小麦と同じ穀類でありながら、血糖値の上昇がゆるやかというメリットを持っています。
さらに、100gあたりの食物繊維量が多いという点も見逃せません。100gあたりの含有量を比較した場合、精製白米の食物繊維量は0.5g、玄米でも1.4gですが、オートミールは9.6gもの食物繊維を含んでいます。
白米の約19倍という豊富な食物繊維量を誇っているからこそ、オートミールはGI値が低いのです。食物繊維は糖や脂肪の吸収を穏やかにするともいわれており、血糖値だけでなく日頃の食生活を健康的にしたいと考えている人にもおすすめできる食べ物となっています。
タマネギ
タマネギを切ったときに、目にしみて涙が出るという経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。このとき目を刺激するのは、タマネギに含まれるイソアリインという成分。実はこのイソアリインという成分には、インスリンの働きを助けてくれる作用があるといわれているのです。
ただし、タマネギは芋類ほどではありませんが、野菜の中では比較的GI値の高いグループに属している野菜です(※注3)。
インスリンの働きを助けてくれる作用があるといわれてはいますが、効果を期待するあまり食べすぎてしまうとかえって逆効果になることもありますので気をつけましょう。
アロエ
アロエは古くから、アジアなどで民間療法に使われてきた歴史ある植物です。アロエ軟膏やアロエヨーグルトなど、日本でもアロエの加工品を見かけることが多くなりました。
中でも血糖値への効果が期待されているのが、アロエヨーグルトなどに使われているアロエベラという名前のアロエです。
アロエベラの食べられる部分にはアルボランという成分が含まれているのですが、このアルボランという成分にはインスリンのように血糖値を下げる効果があるのではないかと考えられているようです。
アロエベラはあまり一般的な食材ではないので、手軽にアロエヨーグルトから摂取しようと思う人もいるかもしれません。ただ、市販のアロエヨーグルトは食べやすくておいしいですが、食べやすくするために糖分が含まれているので、食べすぎは禁物です。
また、アロエを摂取すると腹痛や下痢を引き起こす場合があるという報告があることも、頭に入れておきましょう(※注4)。
こんにゃく
こんにゃくは、グルコマンナンという水溶性食物繊維を多く含んでいます。
このグルコマンナンを白米と一緒に摂取すると、血糖値の急激な上昇を抑えられるという報告があります(※注5)。
こんにゃくに混ぜるマンナンライスと呼ばれるお米型のこんにゃくや、こんにゃくを混ぜて糖質を抑えたこんにゃく麺を主食に取り入れることで、罪悪感なく主食を食べやすくなるので、とてもありがたい食材といえるでしょう。
また、こんにゃく自体は糖質を含んでいないため、GI値も低いです。ぷるんとした弾力と適度な歯ごたえがあるので、こんにゃくを含む料理をよく噛んで食べることで、満腹感も得やすくなります。
売っている場所が多い上に安価で手に入り、カロリーも低い食材なので、料理のかさ増しなどにも便利な使いやすい食材といえますね。
血糖値を下げる食べ方
食材だけでなく、食べ方を工夫することでも血糖値の上昇を抑えることができます。血糖値を抑える食べ方を調べてみました。
よく噛む
まず知っておくべきなのは、「早食いは血糖値を急上昇させる」ということ。時間に余裕を持ち、ゆっくりと食事をすることが大切です。
また、よく噛んで食事をすることも重要。咀嚼は満腹中枢を刺激しますので、食べ過ぎの防止につながります。「1回の咀嚼で、いつもより5回多く噛むことを心がける」、「焦って飲み込まないよう、ひと口の量を減らす」などの心がけを実践し、習慣づけてしまいましょう。
野菜から食べる
定食が目の前に出されたとき、あなたはまず何から箸を付けるでしょうか?「まずは肉や魚などの主菜を食べて、それからご飯を食べて…」、そんな風に考える人が多いのではないかと思います。でも順番を変えるだけで、血糖値の上昇を抑制できます。
野菜やきのこ、そして海藻などは、食物繊維を多く含んでいます。食物繊維には糖の消化・吸収を遅らせる作用がありますので、最初に食べるのがおすすめ。そのあとに主菜に箸を付け、最後に炭水化物(白米など)へと進む順番が理想的です。
油や酢を活用する
血糖値の上昇を抑える食材としておすすめなのが、油や酢。
油分は消化吸収に時間を要するため、血糖値の上昇を抑えます。ただし脂っこい食事が肥満の原因となるのは、周知の通り。肥満は膵臓に負担をかけ、糖尿病リスクを高めます。パンやパスタなどを食べる際、オリーブオイルをプラスするなどして、摂取法を工夫してください。
また酢も油同様、血糖値の上昇を抑えます。さらに高血圧や血中脂質を低下させる働きも期待できるのでおすすめです。前菜に酢の物やピクルスなどを食べたり、糖分の多い料理の味付けに活用するなどして、積極的に摂取しましょう。