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糖尿病では「しめじ」と「えのき」が大事?

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糖尿病の話で「しめじ」「えのき」といったワードを聞いたことありますか?普通に考えたらこれらのキノコと糖尿病の関係を考えるかもしれませんが、キノコの話ではありません。糖尿病合併症の用語のことです。ここでは、糖尿病合併症の用語「しめじ」「えのき」について解説します。

糖尿病の「しめじ」とは?

「しめじ」とは、糖尿病で起こりやすい三大合併症「神経障害」「網膜症」「腎症」のことです。これは神経障害の「し」、網膜症が起こる「目」、腎症の「じ」を取ったものです。それぞれの症状について説明します。

「し」の神経障害は、手足の末端神経がびりびりとしびれたり、抹消神経が働かなくなる症状のことです。不必要な物質が溜まってしまったり、神経に栄養を与える血管が傷ついて血流が低下したりすることで、末梢神経の代謝に異常が起こります。それにより、手足のしびれ・立ちくらみ・ED・発汗異常などが起こります。

「め」の網膜症は、目の網膜の血管から出血する症状です。進行すると失明することも多いので要注意の症状です。早めに気づけばよいですが、目の見え方に影響が出るのは、かなり進行してからでないと気づかないため、発見が遅れやすい合併症です。

「じ」の腎症は、血液を濾過して老廃物や塩分を尿として排出する腎臓の機能が低下する症状。糖尿病により糖尿病性腎症になってしまうと血液のろ過がうまくできなくなり、だんだんタンパク尿が出るようになります。そしてついには尿が出にくくなって、老廃物が体にたまって尿毒症になってしまう病気です。最終的には人工透析が必要になる重大な病気です。

これら3つの合併症「しめじ」は、糖尿病が発症してから比較的ゆっくりと起こる合併症です。この「しめじ」よりも突然発症するので危険といわれているのが、「えのき」です。

糖尿病の「えのき」とは?

糖尿病の合併症として、しめじ以上に恐ろしいのが「えのき」です。えのきとは、「壊疽」「脳梗塞」「狭心症・急性心筋梗塞」の頭文字を取ったもの。これらは発症すると、生命に直結するので要注意です。それぞれの症状を解説します。

「え」の壊疽は、組織がどんどん腐ってしまう症状のこと。高血糖によって血管が詰まり、新鮮な血液が末端に届けられず、傷が治らずばい菌やウイルスに感染します。悪化すると壊疽が起こり、足を切断しなければなりません。このように、ちょっとした傷から下肢切断につながることもある恐ろしい症状です。

「の」の脳梗塞は、脳の血管に血栓が詰まったり脳の血管が収縮したりすることによって、脳に血が行き渡らなくなる症状です。糖尿病は動脈硬化の進行を早めてしまい、この動脈硬化によって血管のなかで血液が固まった「血栓」ができてしまいます。血栓によって血流がせき止められることで、脳に酸素や栄養が届けられなくなってしまうことで脳梗塞が起こるのです。発症すると命に関わり、後遺症が残る可能性が高いとされているので注意が必要です。

「き」の狭心症・急性心筋梗塞は、脳梗塞と同じ原理で血管が詰まることにより起こります。心臓の血管が詰まったり収縮したりすることで、心臓に血液が送られないことで、心臓が止まってしまいます

これらの合併症はすべて血管が弱まったり、血管が詰まることで起こります。糖尿病によって、血管が弱まると命に直結することがわかると思います。そして糖尿病の場合には、健康な人の2倍以上の発症リスクを抱えているといわれています。

「えのき」でも「しめじ」でもない合併症

「しめじ」と「えのき」は糖尿病の代表的な合併症ですが、他にも糖尿病と関連のある合併症はたくさんあります。例えば、認知症・がん・肺炎・歯周病なども、糖尿病の合併症として発症しやすい病気です。

糖尿病は糖をエネルギーに変えるインスリンが足りていないことから起こり、血液中の糖が多い高血糖状態が続くと発症してしまいます。インスリンは脳の栄養であるブドウ糖に変える役割を持っているため、糖尿病になってしまうと脳に栄養が届かずに脳細胞が弱まります。その結果、認知症やアルツハイマー病が進行するといわれています。

また、日本糖尿病学会と日本癌学会の共同調査によると、糖尿病の人は癌の発症リスクが普通の人より20%高いことが分かりました。詳しい関連性は分かっていませんが、糖尿病だと癌になりやすいという点は明らかなようです。肺炎や歯周病なども、糖尿病患者に多い病気です。

糖尿病は「万病のもと」と言われている理由が分かりますね。糖尿病は高血糖により血管を弱めたり、血管を詰まらせたりします。それによって多くの病気を呼び寄せるのです。

糖尿病予防には、きのこの「しめじ」と「えのき」が良い

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ここまでは、糖尿病合併症の用語である「しめじ」や「えのき」について話してきました。シャレのようですが、本物のきのこが糖尿病予防に良いのは本当です。

糖尿病予防で一番大切なのは食生活を改善すること。生まれつき糖尿病ではない2型糖尿病の場合は、毎日の生活で糖質を摂りすぎて発症してしまうことがほとんどです。

きのこ類は食物繊維が豊富で、食物繊維は血糖値の急激な上昇を抑える働きがあります。糖質が多いのは、お菓子だけでなく米やパンといった主食もそうです。日々の食事のなかで、これらを制限して、代わりにきのこ類などの食物繊維をたくさん摂ると糖尿病を予防できるのです。

合併症の「しめじ」「えのき」を発症しないためにも、きのこの「しめじ」「えのき」をたくさん摂るようにしてはいかがでしょうか?

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