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糖尿病による眠気 | 糖尿病の初期症状まとめ

糖尿病の自覚症状である「眠気」について解説します。昼間でも激しい眠気に襲われる人は要チェックの内容です。

食後の眠気は危険?

食事を食べた後は誰でも眠くなります。食事をすると食べ物を消化しようと胃腸へ血液が集まるため、脳へ流れる血液が少なくなり、脳が活発に働かずぼんやりとしてしまうといわれています。食後の眠気は当然のことなのですね。

食後の眠気は自然なことですが、糖尿病になると仕事に支障が出てしまうほどの強い眠気に襲われます。ひどい場合だと、体を横にして仮眠を取らなければ立っていられない場合も。あなたの眠気も糖尿病の初期症状かもしれません。

糖尿病による眠気の原因は?

糖尿病による眠気の原因は、「インスリンの低下」と「低血糖」の2つが考えられます。

インスリンとは、膵臓から分泌される糖をエネルギーに変えてくれるホルモンです。糖尿病の人はインスリンの分泌量が少ないため、常に高血糖の状態が続き強い眠気が起こるのです。

また、「低血糖」という状態でも眠気は起こります。低血糖は食事制限や運動療法、インスリン注射などで血糖値が下がった状態のこと。血糖値が下がることによっても、眠気が襲ってくるのです。

このように、基本的に血糖値は上がりすぎても、下がりすぎても眠くなるのです。それぞれについて詳しく説明します。

インスリンの働きが弱まるのが原因?

インスリンは糖分を脳へのエネルギーに変えてくれるので、インスリンの働きが弱くなると脳へのエネルギーが不足して眠たくなります。

高血糖状態が続くと、インスリンを分泌する膵臓が疲弊していまい、インスリン分泌量が低下します。結果、インスリンが処理する糖分の量が減るので、脳のエネルギーが不足するのです。

インスリンの働きが弱まった状態では、血液中の糖が減らず高血糖がどんどん進み、これが慢性化すると糖尿病になってしまいます。

低血糖による眠気も

糖尿病の方は血糖値が上がらないように対策をするあまり、低血糖状態になってしまうことがあります。低血糖とは、食事制限・運動療法・薬物療法など、血糖値を下げるためにさまざまな治療を行った結果、血糖値が下がりすぎた状態です。

低血糖になると、脳の栄養であるブドウ糖が不足します。脳は体の動きもコントロールしているので、脳が栄養不足になると眠気が出てしまうのです。

さらに、低血糖状態が悪化すると、冷や汗・頭痛・めまいといった重い症状になっていくので、血糖値の数値を安定させることが大切です。

糖尿病によって朝起きれない場合

朝がつらい、起きられない、そんな症状も糖尿病が理由で起きている可能性がありますので注意が必要です。

糖尿病になると疲れやすく、眠気に悩まされやすい

糖尿病になると疲れやすい、眠気を我慢できないといった症状が現れることが多くなります。それは、血糖値の高い状態が長く続くと、尿と一緒に糖が身体の外に排出され、糖をエネルギー源として使うことができなくなるためです。

身体や脳がエネルギー不足になり、疲労を回復できず、眠気に襲われてしまうのです。

通常インスリンがしっかり分泌されて作用していれば、一時的に血糖値が上がっても低下するため、眠気は長くは続きません。ですが糖尿病の場合、インスリンが上手に作用しなくなるので、血糖値が下がらずにずっと眠いままの状態が続いてしまうのです。

安眠ができず、寝不足になることがある

糖尿病になると、手足がチクチク痛みを感じたり、こむら返りを起こしたりといった症状が現れることもあります。我慢できないわけではないけれど、不快な症状は熟睡を妨げてしまいます。それによって慢性的な睡眠不足になるのです。

このように朝起きれなくなるのは、糖尿病による不快な症状で十分な睡眠が取れていない、質のいい睡眠が取れていないからという可能性もあります。

インスリン療法をしても起きられないことがある

また、インスリン療法を行っていると、寝る前よりも起床時の血糖値が高くなる現象、「ソモジー効果」が現れることもあります(※注1)。ソモジー効果とは、寝る前よりも朝起きたときに高血糖となっていることです。この場合、朝起きたときに非常に身体がだるく感じられ、起きられないということがあります。

なぜソモジー効果が現れるのかというと、低血糖の反動です。寝る前にインスリンによって低血糖になることで、寝ている間にインスリン拮抗ホルモンの分泌が増えます。それによって、早朝に血糖値が急激に上昇するのです。

糖尿病による眠気を体験した人の声

朝起きれないほどのだるさで糖尿病が発覚

母親が「朝が起きられず頭がボーッとする」と言うので病院へ行ったところ、糖尿病2型と診断。血糖値を下げる薬をもらって飲んでいました。しかし全く症状が変わらない様子だったので、糖尿病専門医のところへ連れて行くと、糖尿病1型だったことが判明。セカンドオピニオンって本当に大切です。

体が重たく起きられない

お腹がすくとフラフラしたり、眠気に襲われたり、めまいがしたり、生理不順もひどく体が重い期間が続きました。医師に見てもらうと糖尿病との判断。幸い2型だったので食事と運動で改善できて良かったです。

糖尿病による眠気を防ぐ方法

糖尿病による眠気を改善するなら、とにかく高血糖状態を回避することと、高血糖状態になっても早く改善することが大切です。そのためにも食事習慣を見直しましょう。以下で具体的な方法を解説します。

炭水化物・糖質を抑える

糖尿病による眠気の正体はずばり、「糖質オーバー」です。糖質をコントロールして、血糖値を上げないようにすることが一番の近道といえます。今日から取り入れられる簡単な方法を紹介します。

  • 炭水化物中心の食生活をやめる
  • 白米を玄米、白いパンをライ麦パンに変える

とにかく糖質を制限することが大切です。カレーライスやラーメンなどは、吸収できる栄養がほぼ糖質しかありません。コロッケ定食やうどんとおにぎりのような、炭水化物×炭水化物のような食事も避けましょう。掛けあわせるならサラダやスープといった糖質以外の栄養素を取り入れるのがベストです。

量より質で食生活の改善

食べる物を変えることは大切ですが、血糖値を上げないように食べ方を工夫するのも効果的です。以下の方法を取り入れてみましょう。

  • 30分かけてゆっくり食べる
  • 食べる順番をサラダ→おかず→主食に変える

早食いは必要以上に量を食べてしまうものです。糖質を控えたとしても、量で糖分を補っては意味がありません。脳は食べ物を摂取してから満腹感を感じるまでに15分以上かかるといわれています。ゆっくりとよく噛んで食べるようにしましょう。

また、最初に糖質の高いものを食べると血糖値が急激に上昇するので、おすすめできません。食物繊維の豊富なサラダから摂取して、ゆるやかに血糖値をあげるようにしましょう。

甘いものや清涼飲料水を控える

甘いものイコール糖質です。絶対に食べないとまで考えなくてもよいですが、甘いものは控えるのが良いです。甘いものが好きな方には難しいかもしれませんが、工夫はできます。

  • 清涼飲料水を控えてお茶や水にする
  • おやつはアーモンドやナッツ類、ヨーグルトに変える

清涼飲料水の摂りすぎは特に注意です。「ペットボトル症候群」という、清涼飲料水の飲み過ぎで発症する病気もあるほど、清涼飲料水に含まれている糖質は多いのです。例えば、スポーツ飲料に含まれている糖分は角砂糖8個分程。500ml飲むだけで、デザートを食べるのと変わらない糖分を摂取することになるので、お茶や水などに変えて水分補給するようにしましょう。

また、小腹がすいた時はアーモンドやナッツ類がおすすめ。糖質が低く栄養価も高いので満足感があります。

症状が悪化する可能性も

ここまでで、糖尿病によって眠気が起こることがわかっていただけたと思います。眠気だけでなく、糖尿病が進行するとさまざまな合併症を発症したり、動脈硬化が進んだりといった症状が起こります。

例えば、高血糖が進むと血管にダメージを与え、足手の末端がしびれていくといった症状が起こります。これを「糖尿病性神経障害」といい、最初はしびれる程度ですが重症になると怪我をしたところから感染が広がり、体の一部が腐ってしまうといったことも。同じように目の毛細血管が弱まり出血することで失明に至ることもあります。

血管が硬くなって弾力性が失われた状態になると、血管に脂質が溜まりやすくなります。固まった脂質がはがれると血流にのって心臓や脳の血管を塞ぎ、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる症状が起こることもあるのです。

強い眠気だけで済んでいるうちに改善していきましょう。

インスリンの働きを正常化するホルモンがある

糖尿病を改善するには、血糖値を下げてくれるインスリンの分泌量を増加させることが大切です。

最近注目されているのは、体の中にある「アディポネクチン」と「オステオカルシン」というホルモン。これらはインスリンの分泌を促す働きを持っており、糖尿病の治療に役立つと期待されています。

研究により、こういったホルモン1つひとつの効果や役割が分かってきました。こういったインスリンの働きを助けるホルモンについて調べておくと、糖尿病の改善や眠気改善に役立つでしょう。

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