糖尿病予防 完全ガイド » 見逃してはならない糖尿病の初期症状まとめ » 糖尿病による頻尿 | 糖尿病の初期症状まとめ

糖尿病による頻尿 | 糖尿病の初期症状まとめ

最近トイレの回数が多くなっていないですか?もし頻尿気味だという方でしたら注意が必要です。糖尿病になると自覚症状として「頻尿」があらわれることが多いです。糖尿病になるとなぜ頻尿が起こるのか、糖尿病と頻尿との関係を調べてみました。

頻尿の症状とは?

糖尿病性頻尿

頻尿とは排尿回数が多い症状のことです。尿意で夜に目が覚めたり、1日に何回もトイレに立ったりといった症状があげられます。

特に高齢者になると発症しやすくなるといわれており、日本では800万人以上が罹患している病気です。

頻尿自体が命に大きな影響を与えるわけではありませんが、もしかすると「糖尿病」や「腎臓病」といった重い病の前兆かもしれません。早期発見・早期治療をするためにも、頻尿の可能性があれば一度時間を見つけて病院を訪ねてみましょう。

頻尿の回数の基準は?

昼間に8回以上、夜間に1回以上排尿をしている場合は頻尿と定義されています。成人の平均的な排尿回数が5~7回のため、8回を超えれば平均よりも排尿が多いほうと考えられるようです。

ただし、1人ひとりの排尿の回数は異なるもの。8回以下でも自分自身が「以前より尿の回数が多い」と感じれば、頻尿になっている可能性はあります。また、睡眠時以外の排尿の間隔は、通常であれば3時間から5時間程度といわれています。それよりも短い間隔で排尿するようなら、頻尿かもしれません。明らかにトイレへ立つ回数が増えた、夜中にトイレに行くようになった、という人は頻尿を疑ってみたほうがいいでしょう。

糖尿病による頻尿の症状

糖尿病による頻尿

糖尿病になると血液中の糖分が体に送られなくなるので、血液中に糖分が過剰に増えることになり、血液中の余った糖分を排出するために尿を作ろうとします。尿を排出すると、尿に糖が紛れ込んで出ていくため血糖値が落ち着くようになるのです。

しかし、このように糖を排出するために尿をつくっていると、体内の水分がどんどん減っていきます。体内の水分量が減ると、のどが渇いて水分を摂るようになり、それによってまた尿を作り出すという循環が生まれ、頻尿が起こるのです。

ちなみに、厚生労働省が発表した平成28年「国民健康・栄養調査」の結果によりますと、糖尿病が強く疑われる人と糖尿病の可能性を否定できない人は、それぞれ全国に1,000万人程度、合計で2,000万人程度いると推計されています。

全人口の1/6にも届きそうな数字で、それだけ糖尿病による頻尿に悩んでいる人が多いことが考えられます。糖尿病の可能性を否定できない人は糖尿病予備軍と呼ばれている存在です。

糖尿病による頻尿の原因は?

糖尿病になると頻尿になりやすくなります。なぜこのような症状が起こるのでしょうか?そこであげられる原因は、のどの渇き、神経障害などです。

のどの乾きによる頻尿

糖尿病の初期症状としてのどの渇きがあります。糖尿病の方は血液中の糖分濃度、つまり血糖値が高いため、血糖値を下げようという目的から尿で糖分を排出しようとします。尿として排出される水分が多くなり過ぎると、体内で起こるのは水分不足の状態です。そこで、脳は不足した水分を補給するためにのどが渇いたと感じさせ、その結果、人は大量に水分を摂取します。この一連の流れによって、尿から糖分を排出して血糖値を調整しようとするのです。

しかし、大量に水分を摂ることによって、頻繁に尿を出したら体の中の水分が足りなくなり、またのどが渇くようになります。のどを潤すためにさらに水分を摂り、トイレの回数が増えるという悪いループが出来てしまいます。尿を出したら、すぐにまた尿意をもよおすというのは糖尿病性の頻尿の特徴なので注意しましょう。

さらに水分摂取量が多いため、頻尿だけでなく多尿の症状が起こるのも糖尿病性の頻尿の特徴です。

神経障害による頻尿

糖尿病で血糖値が高い状態が長期間続くと、末梢神経障害が起こる可能性があります。その結果、眠っている間に急な尿意を感じたり、逆にほとんど尿意を感じなかったりといったことが発症するようです。

トイレに行くまでは大脳から「まだ尿を出してはダメ」といった指令が、膀胱や膀胱周辺の筋肉に伝わり我慢ができます。排尿の準備ができたら副交感神経の働きによって、膀胱の筋肉が収縮し、尿道が緩むことで尿が出ていく仕組みなのです。

糖尿病になると、この排尿に関する神経にも障害が出てしまうため、尿を我慢ができなくなったり、排尿するのに時間がかかってしまったりすることが多いといわれています。これを、神経因性膀胱と呼びます。

起こると危険な頻尿

頻尿と関係のある症状として、「多尿」という症状があります。多尿とは、名前の通り尿の量が増える症状のこと。頻尿とどこが違うのかというと、頻尿は排尿の回数が増えることがですが、1回の排尿量が多いとは限りません。少ない量でも排尿感が強まり、少しずつの尿を何回も出すことがあるからです。

正常な状態であれば、1回の排尿量は200mlから400ml程度とされています。また、1日の排尿の総量は1,000mlから1,500ml程度です。したがって、これよりも多くの排尿量があるようなら、多尿の可能性が考えられます。

ちなみに、冒頭で平均的な排尿回数を5回から7回と述べましたが、1日の排尿総量を1回の排尿量で割れば、このくらいの回数に落ち着くわけです。もちろん、個人差がありますので、必ずこのとおりでなければならないわけではありません。

多尿は重い病気の初期症状として発症しやすく、糖尿病や腎不全や尿崩症といった病気の可能性が考えられます。また、寝ている時に尿が増える夜間多尿は高血圧、心不全、睡眠時無呼吸症候群の症状の現れでもあるようです。

尿の量が増えたと感じた際は、病院で診察を受けることを考えましょう。

夜間頻尿と糖尿病

頻尿だと糖尿病の可能性があるとお伝えしましたが、夜間頻尿と糖尿病との関係性は低いといわれています。夜間頻尿が発症する原因は、塩分の過剰摂取による高血圧だと長崎大学病院の研究で明らかになっています。(※注1)

塩分を多く摂取する人と少ない人に分けて、排尿回数・排尿量を比較してみると、塩分を多く摂取する人のほうが回数も量も多かったと分かりました。

塩分の摂りすぎで体の中のバランスが崩れないように、大量の水分摂取をした結果多尿につながるのです。夜間頻尿で困っている人は塩分を減らした食生活に変えてみると良いかもしれません。

健康指向による水分の過剰摂取

もうひとつ、夜間頻尿の主な原因として考えられているのが、現代人の健康指向による水分の過剰摂取です。代表的なのは、突然死の予防を意図した水分摂取でしょう。

睡眠中にはコップ1杯程度の汗をかくといわれており、発汗して水分を失えば血液がドロドロになる可能性があります。その結果として懸念されるリスクが、脳梗塞や心筋梗塞を発症することであり、その予防のために就寝前に水を飲むという行動です。

しかし、脱水状態など水分不足は問題ですが、そうでなければ寝る前の水分摂取が脳梗塞や心筋梗塞の予防に役立つというエビデンスはないといわれています。それどころか、水分の過剰摂取になってしまい、夜間頻尿の原因になってしまっているという指摘があります。その他、過活動膀胱なども夜間頻尿の原因のひとつです。

頻尿を起こすその他の病気

危険な頻尿

糖尿病以外に考えられる頻尿の原因には、腎不全や尿崩症があります。腎不全は腎臓の機能が低下していく病気。腎臓は体の余分な水分や老廃物を尿として体外に排出してくれる臓器で、なくてはならない存在です。

しかし機能が低下し始めると、毒素が溜まるのを防ぐために頑張りすぎて、尿を大量に作ってしまいます。そこで腎不全の最初の頃は頻尿となるのです。

尿崩症は体の中の水を保持する機能が低下して、水が尿として体から出ていく病気です。皮膚も乾燥し、常に乾きを感じる症状が出るといった特徴を持つ病気です。

糖尿病以外にも頻尿の症状が出る病気があるので、自分で判断する前に病院を受診するようにしましょう。

今から予防しておかないと大変!糖尿病の予防方法をチェックしよう

今から予防しておかないと大変!糖尿病の予防方法をチェックしよう

ページの先頭へ