糖尿病によるのどの渇き | 糖尿病の初期症状まとめ
ここでは、糖尿病により引き起こされる「のどの渇き」について調べています。のどの渇きが起こる仕組みと、どれくらいの渇きが起こるのかを検証しています。
糖尿病による、のどの渇きの仕組み
糖尿病は「沈黙の病」の異名を取ります。気づかないうちに進行し、身体を蝕むからです。とはいえ、自覚症状がまったくないというわけではありません。自覚症状としてよくあげられるのが、「のどの渇き」です。水分をいくら摂ってものどが渇いて、さらに水をもとめるようになります。
水分を大量に摂ることで、お手洗いに行く回数もとても増えてしまいます。
このような症状が現れる理由は、患者の血液状態にあります。糖分過多の血液はドロドロで流れが悪く、濃度が増しています。脳はこの状態を「脱水状態」と判断し、血液内の糖分の割合を薄めないといけないと判断してしまいます。そのため「水を飲んで状態を改善しろ」という指令を出してしまうのです。
一体どのぐらいの渇きを覚えるのか
理不尽なほどののどの渇きは、あまり多くない糖尿病の自覚症状のひとつ。では一体、どのくらいのどが渇くのでしょうか。糖尿病患者の体験談から明らかにしましょう。
糖尿病患者のAさんは、コップ1杯程度では渇きが収まらず、500mlのペットボトルを一気に飲むようになったそうです。ひどい時には1リットルもの水を一度に飲むようになり、仕事中も2リットルのペットボトルがそばにないと、不安だったとか…。またトイレにも足繁く通う羽目になり、周囲の人から心配されるようになったそうです。
糖尿病かどうかの判断基準は?
上記のように異常なのどの渇きを覚えた場合は、糖尿病の可能性が濃厚です。しかし、「まだそこまでひどい渇きではないし…、私は糖尿病ではないはず」と楽観視する人がいるかもしれません。
一般的なのどの渇きと糖尿病が原因ののどの渇きには、どのような違いがあるのでしょうか。それは「原因と結果」を意識するとわかりやすいです。
一般的なのどの渇きには、必ず原因があります。暑さや運動による大量の発汗で、身体が水分不足になっているのです。糖尿病によるのどの渇きとは原因が異なるのです。
次に結果はどうでしょう。渇きを癒すために飲んだ多量の水分は、身体内で補給に回されます。そのため、急激に尿の量が増えるということはありません。しかし糖尿病の場合、原因が水分不足ではないため「頻尿」という結果が起こります。このように異なる結果となってしまうのです。
原因不明なのどの渇きと、10分おきの排尿という結果が現れた場合、糖尿病の可能性は濃厚です。
のどの渇きの体験談
体験談1.1日5リットルの水を飲み続ける日々
常にのどが渇いていて、ひどい時は1日に5リットルもの水をガブ飲みしていました。尿意も我慢できるレベルじゃなくなり、何度か職場で失禁しかけたことも…。
最初は水だけでしたが、途中から炭酸飲料や甘いイチゴミルクを飲むように。ある朝口を閉じるのが難しいほど乾いていて、次第に舌が真っ白になっていったのを覚えています。
その後病院へいくと、「糖尿病ケトアシドーシス」と判断されました。いわゆるペットボトル症候群というもので、清涼飲料水を飲み過ぎたことが良くなかったようです。
体験談2.たいして好きでもないけれどコーラを飲むように
のどが渇くことが増えて、お腹がタプタプしていても飲み続けていました。のちにのどが渇くのは血液中の糖分を調節するためと知りましたが、その時は分からなかったのでコーラでのどの渇きを潤す日々…。
今考えると、糖分を調整した直後に糖分を摂るという最悪のローテーションをしていたと思います。飲んだ後は10分ごとにトイレに行きたくなるくらい頻尿もひどかったです。
のどの渇きを起こす糖尿病ケトアシドーシスとは
ケトアシドーシスとは血液が酸性になること。元々血液は弱アルカリ性なので、酸性へ傾くと以下のように体は様々な症状を発症します。
- 激しくのどが渇く
- 頻尿
- 倦怠感
- 嘔吐
- 腹痛
- 昏睡
糖尿病ケトアシドーシスは、主にインスリンの分泌ができない1型糖尿病の方がインスリン投与を中断した時、また2型糖尿病の方だと清涼飲料水を飲み過ぎた時になりやすいです。
どちらもインスリンが欠乏し、糖の分解が追いつかず高血糖状態を引き起こします。すると体は脂肪を分解してエネルギーを作りだそうとし、その反応でできるのがケトン体。ケトン体は酸性なので増えると血液が酸性になってしまうのです。
対処としては、点滴で水分を補給しインスリンで血糖値を下げていきます。
のどの渇きを起こす高血糖高浸透圧症候群とは
高血糖高浸透圧症候群とは、感染症や手術によって高血糖となった状態のこと。体内にある程度インスリンが存在するため、脂肪を分解してケトン体をつくることはしませんが、糖尿病ケトアシドーシス以上に激しくのどの渇きを覚える傾向があります。症状は以下の通りです。
- 激しいのどの渇き
- 倦怠感
- 頭痛
- 悪心
- 嘔吐
- けいれん
高浸透圧症候群は高齢の2型糖尿病の方に多く見られる症状です。高齢者は若い人と比べると水分保持量が少ないため脱水状態になりやすくなっています。対処としては糖尿病ケトアシドーシスと同じく、点滴で水分を補給することで脱水状態の改善を最優先に進め、必要に応じてインスリンの投与が行われます。
脱水を防ぐためには?
脱水は高血糖が原因で起こるため、血糖値をコントロールすることが近道です。以下の基本的な対策を元に、自分なりに血糖値を下げる習慣を身につけましょう。
- 急激に血糖値が上がらないようにサラダやスープから食べるようにする。
- 運動して糖をエネルギーとして消費する。
- 風邪や胃腸の病気、ストレス環境は血糖値を上昇させるので、体調管理を徹底する。
このように、基本的な食生活の改善だけでも変わるはずです。また、水分補給をする時はお茶や水など糖分の入っていないものを選ぶこと。コーヒーや紅茶はカフェインの影響で利尿作用も高いためあまりおすすめできません。のどが乾いたら水やお茶で対処していきましょう。