糖尿病によるだるさ | 糖尿病の初期症状まとめ
糖尿病の自覚症状のひとつである「だるさ」について調べています。だるさはなぜ起こるのか、糖代謝の重要性について説明しています。
糖尿病によってだるさが起こる仕組み
さまざまな合併症が懸念される糖尿病は、早めの治療が肝心。そのためには、身体の発しているSOSに敏感になる必要があります。糖尿病患者は、身体のだるさや疲労感を慢性的に感じやすくなっています。その理由は、血液内の糖分が急激に上昇する「高血糖」にあります。
健康な人でも、食後は一時的に高血糖状態になり、眠気やだるさに襲われます。しかし、インスリンの働きで血糖値のバランスが取れれば、症状も改善されます。
対して糖尿病患者の体内では、インスリンが充分に働いておらず、血液内の糖分が常に高い状態となり、だるさが常態化してしまうのです。
糖代謝に注意
高血糖には、もっと怖い側面もあります。健康な人の体内ではインスリンが働き、血糖値のバランスを整えてくれます。この働きは単に、余分な糖分を排出しているということではありません。糖分を「ブドウ糖」に換え、エネルギー源として各細胞へと送り届けているのです。
健康な毎日に欠かせないこれらの働きが、糖尿病患者の体内では充分に行われていません。慢性的な高血糖状態にあるということは、糖分が血中に留まり、細胞に充分な栄養が行き届いていないということ。そう考えれば、身体のだるさが重篤な不調に繋がることも、理解できるのではないかと思います。糖分の代謝というのはとても大事なのです。
細胞が栄養を取り込めない理由
糖尿病になると、なぜ糖分をエネルギーとして体内に取り込めないのでしょう?
糖尿病の方の細胞が栄養を取り込めないのは、インスリンが足りていないという理由があります。インスリンは細胞へ糖質を送り届け、エネルギーとして使えるようにする働きを持っているホルモン。これが足りていないと、糖質はエネルギーになることなく血液中へ流れていくのです。
またインスリンが細胞へ糖質を届けるには、細胞のインスリン作用を促進するインスリン受容体にぴったりと当てはまる必要があるのですが、糖尿病の方はインスリンとインスリン受容体が比較的当てはまりにくいといわれています。
- インスリンの量が少ない
- インスリンとインスリン受容体が当てはまりにくい
これら2つの理由で、糖尿病になると細胞が栄養を取り込みにくくなってしまうのです。
インスリンによる治療
身体のだるさは、仕事などの日常生活にも悪影響を及ぼします。このため病院での診療後は、即座に薬物治療が実施されることが多いです。
その方法はさまざまで、以下のような例があります。
- インスリンの分泌を促進させる薬を飲む。
- 尿糖排泄を促進させる薬を飲む。
- インスリン製剤を注射する。
これらの薬物療法を実施している患者には、きめ細かい血糖値の測定が義務付けられることになるでしょう。
二次性低血圧に注意
血糖値がコントロールできていないと二次性低血圧になる可能性があります。二次性低血圧とは薬や治療の影響で低血圧になること。糖尿病の薬で血糖値が揺れることで、低血圧になる可能性があるのです。低血圧になると以下の症状があらわれます。
- だるい
- めまい
- 耳鳴り
- 頭痛
- 肩こり
- 不眠
- 吐き気
症状が続いた際は、食事を見直しましょう。急激に血糖値を上げないようにサラダやスープなど糖質の低いものから食べてミネラルを摂取することで、安定した血圧へと改善できます。また、低血圧の人は疲れやすいので梅干しを摂るのも良いでしょう。
成長ホルモンが血糖値を上げることも
また、似たような症状に「暁現象」があります。症状はソモジー効果と似ていて、深夜や早朝に血糖値が上昇します(※注1)。
眠っている間になぜ血糖値が上がるのかというと、睡眠中に成長ホルモンが分泌されると、インスリン作用が低下してしまうためです。成長ホルモンの分泌は年齢を重ねると減少してきますが、大人になっても分泌されています。
血糖値を上げるホルモンは複数ありますが、朝がひどくつらい場合は成長ホルモンが多く分泌されているからという可能性もあります。
糖尿病によるだるさを体験した人の声
毎日のだるさで病院へ
身体のだるさが続く日々だったので、内科を受診したところ糖尿病と診断されました。急性ではなかったので、食生活を改善し運動を始めました。現在は血糖値が平均値に戻ってきています。
1型糖尿病で入院
だるさとむくみがひどく、病院で検査したところ、糖尿病と判明。運動療法などを実践していましたが、一向に改善しないため他の病院にセカンドオピニオンを求めたところ、1型の糖尿病で、即入院になりました。医師は医師でも、専門医を頼ることが重要と知りました。
だるさを改善するためには
常に高血糖状態となっていることによって眠気やだるさが生まれるので、血糖値を下げることが重要です。糖尿病では、インスリン不足で血液中の糖が多くなっているため、手っ取り早く解決できるのはインスリンの投与ですが、それだけに頼っていてはいけません。
食生活は糖質の低いものに変え、食べ方も工夫すると良いでしょう。高カロリーの食事を摂ると大量のブドウ糖が作られます。このブドウ糖を消費するのにたくさんのインスリンが必要となるため、食事内容を質素なものに変えるだけでもだるさが軽くなるかもしれません。
インスリンの働きを正常化するホルモンがある
体の中には「アディポネクチン」や「オステオカルシン」といったインスリンを助けるホルモンが存在しています。
アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、インスリンの分泌を助けたりインスリンが効きやすい体にしたりと、糖尿病患者にぴったりの働きを持つもの。オステオカルシンは骨から分泌されるホルモンで、アディポネクチンと同じくインスリンの分泌を促す働きを持っています。
最近の研究で人間が持つホルモン1つひとつの働きが明らかになってきていますが、これらも新しく発見された1つ。こういったインスリンの働きを助けるホルモンについても調べておくと、糖尿病の改善・だるさの改善につながるでしょう。