痩せ型でも糖尿病になる
痩せ型なら、糖尿病にならないだろうと思っている方も多いかもしれません。ここでは、それが正しいのかを検証しています。
痩せ型の人は糖尿病にならない?
糖尿病の原因のひとつとして、肥満があげられます。肥満体の人の血液は高血糖状態が慢性化しており、膵臓の働きも鈍りがちだからです。
自分はどちらかというと痩せているから、糖尿病の心配はなさそう、と安心している人がいるかもしれません。でもちょっと待って。実はBMI18.5以下の痩せ型の人でも糖尿病になる可能性があります。体型的に見ればリスクは低そうなのに、なぜ発症してしまうのでしょうか?
脂肪の蓄積箇所が問題
その答えは、脂肪の蓄積箇所にあります。人体の脂肪組織には「皮下脂肪」と「内臓脂肪」があります。痩せ型の人は皮下脂肪が薄いため、スマートに見えるのですが、内臓も同様にスマートとは限りません。内臓脂肪型肥満の人は、お腹だけがポッコリ出ているという特徴があります。
他にも「異所性脂肪型肥満」といわれる、わかりにくい肥満があります。これは脂肪貯蔵機能が低いため、皮下や内臓に脂肪を貯めない代わりに、肝臓や心臓、そして筋肉などへ脂肪を貯め込んでしまう肥満です。一見痩せ型でも高血糖状態が発生しやすく、糖尿病リスクは肥満体の人同様、高くなっているのです。
異所性脂肪にはインスリンもお手上げ!?
先述の通り、異所性脂肪は、肝臓や心臓、そして筋肉などに蓄積されます。比較的耳馴染みのある「脂肪肝」は、異所性脂肪の代表格といえるでしょう。
こうした箇所に脂肪が溜まると、大きな問題が起きます。脂肪に毒性が生じ、インスリン抵抗性が強まってしまうのです。これでは糖尿病リスクも高まる一方。
また異所性脂肪を蓄積している痩せ型の人が、同時に脂質異常や高血圧のリスクを抱えていると「骨格筋のインスリン抵抗性が高まる」という研究結果もあります(※注1)。
「太っていないから大丈夫」と慢心せず、血糖値の検査は定期的に受診をしましょう。そして検査結果によっては、肥満体の人同様、食生活の改善や運動の習慣付けなどに励む必要があります。