糖尿病とインスリンの関係とは?
糖尿病の発症と深い関係のあるホルモン「インスリン」について紹介しているページです。
糖尿病と深い関係があるホルモン「インスリン」とは
インスリンとは、膵臓から分泌されるホルモンの名前です。このホルモンが、なぜ糖尿病と関係があるのかを解説します。
インスリンには、人体内で唯一無二の働きがあります。それは、「糖分の有効活用」です。食事から体内へ摂り込まれた糖分は、ブドウ糖に変換されたうえで、エネルギー源として全身の細胞へ行き渡ります。また、タンパク質の合成や細胞の増殖にも役立てられます。これらの活動のために、インスリンの合図が必要不可欠なのです。
インスリンの分泌が滞ると、人体はエネルギー源を失うことになります。全身の筋肉や臓器、そして脳の働きまでに支障が出てしまうのです。
インスリンの分泌を増やすには
欧米人はアジア人に比べ、インスリンの分泌能力が高いといわれています。白人の中年~熟年層には驚くほどの肥満体型も見られますが、インスリンの分泌量が多いため、血糖値は正常というケースが多いのです。対して日本人などのアジア人は、インスリンの分泌能が欧米人の半分程度といわれています。このため、軽度の肥満であっても糖尿病を発症しやすくなっています。
「インスリンの分泌を増やすには、食事の順番に気を付けると良い」ということが研究されています。食事がまず腸へと運ばれた際、「インクレチン」という腸のホルモンが、インスリン分泌の指令を出しますが、このインクレチン分泌を促進させるためには、まず野菜を食べ、その後魚などのたんぱく質を摂取し、最後にお米など糖質を多く含む炭水化物を食すと良い、と証明されたのです(※注1)。
ただし、これらの食事法改善はあくまで糖尿病予防の一環。すでにインスリンの分泌が低下している際は、もっと具体的な治療を受ける必要があります。
糖尿病治療とインスリン
病院での検査の結果、糖尿病と診断された場合は、インスリンの分泌に異常が出ているケースがほとんど。このため、その分泌を促進させるための具体的な治療が行われることとなります。
進行が緩やかな2型糖尿病の場合は、症状によってインスリンの分泌を促進するための薬剤が処方されます。対して急激に発症する1型糖尿病の場合、インスリンの分泌がストップしているようなケースも多く見られ、身体は非常に危険な状態に曝されています。このため、インスリン製剤を直接注射する治療法が採用されます。
治療が功を奏し、インスリンの分泌が正常に戻ってくれば、インスリン製剤の注射はやめることができます。また投薬や注射を行っている期間に、膵臓は充分な休養が取れるため、健康に戻りやすくなります。このため、インスリン治療は早期に開始することが推奨されています。