玄米が糖尿病にもたらす効果を解説
稲の果実であり、脱穀されていない籾(もみ)から籾殻(もみがら)だけを取り除いた穀物、玄米。糖尿病や血糖値にどのような効果をもたらしてくれるのでしょうか。ここでは、玄米の持つ効果や実際に糖尿病の治療に玄米食を利用している大学病院の事例について紹介しています。
血糖値を下げる効果がある
琉球大学大学院医学研究科は、γ-オリザノールが膵臓のβ細胞に働きかけて血糖値を下げ、高血糖を改善する作用も発見しています。膵臓のβ細胞は、血糖値を下げるインスリンを分泌している組織。この脂肪が減ることで、糖尿病になってしまいます。
大学の研究グループは、マウスに「高脂肪食のみ」「高脂肪食+γ-オリザノール」の2種類を与えて比較するという実験を行いました。その結果、前者は膵臓のβ細胞が破壊されましたが、後者はβ細胞の減少を阻止できたそうです。また、β細胞が破壊されたマウスにγ-オリザノールを投与したところ、β細胞の回復が見られました。
この実験結果から、玄米に含まれるγ-オリザノールには膵臓のβ細胞を保護する作用があり、玄米が膵臓の機能回復の一助となることが分かっています。
動物性脂肪への依存性を緩和する効果がある
琉球大学大学院医学研究科がつきとめた研究成果によれば、玄米のぬか部分に含まれるγ-オリザノールという成分が、動物性脂肪に対する依存性や嗜好性を緩和することが分かっています。γ-オリザノールが本能を司る部位である脳の視床下部に働きかけて、脂っこい食べ物を好む意志にブレーキをかけてくれるそうです。
玄米が糖尿病の治療に使われている
琉球大学医学部付属病院では、糖尿病の治療に玄米食が採用されています。玄米を食べることで、脂っこい食事よりも野菜や豆、海藻などを好むようになり、摂取エネルギーが自然に減ることが採用した理由です。
玄米食で糖尿病の薬の服用を中止できた事例
琉球大学医学部付属病院で糖尿病の治療を行っていた40歳のAさんの事例を紹介します。Aさんは食後の血糖値がときどき140mg/dlを超える場合があり、糖尿病の薬を服用していたそうです。食後の短時間に血糖値が急激に上昇する症状を「血糖値スパイク」といい、血管を傷つけて動脈硬化を引き起こす上、脳梗塞や心筋梗塞の原因になると言われています。
そんなAさんの朝食の主食を白米から玄米に替えるよう指導したところ、食後の血糖値がみるみる降下し、基準値内におさまるようになったそうです。その後も数値の安定が続き、糖尿病の薬の処方中止につながっています。現在は、食事だけで血糖値をコントロールできているそうです。