糖尿病の治療時には低血糖症が起きやすい?
血糖値が正常範囲以下に陥ったときに、さまざまな症状を引き起こしてしまう低血糖。起こりやすい場合やよく見られる症状、実際になったときの対処法などを解説しています。
低血糖はどういうときに起こる?
糖尿病の方が起こす低血糖とは、血糖値を下げる薬を服用したときに血糖値が低下する副作用のことです。糖尿病を経口血糖降下薬やインスリン製剤などで治療している方に、高い頻度であらわれます。
そんな低血糖がどんなときに起きやすいかというと、用法・用量や食事療法、運動療法のバランスが上手くとれていないときです。飲む薬を間違えたり、打ち間違えたりした場合や食事の時間がいつもよりも遅かったとき、病気や検査で食事量が減少している場合など、さまざまな場合に起こります。また、SU薬・中間型インスリン製剤・持効型溶解インスリン製剤を使っている方は、食前の低血糖に注意が必要です。速効型インスリン分泌促進薬・速効型インスリン製剤・超速効型インスリン製剤だと食後の低血糖に気をつける必要があります。
低血糖になったときによく見られる症状
低血糖が急激に低下したときに起こる症状には、手指の震えや動悸、顔面蒼白、発汗、不安などがあります。 血糖値が50mg/dlくらいまで低下すると、中枢神経のブドウ糖が欠乏し、頭痛やかすみ眼、めまい、眠気といった症状が出現。血糖値が50mg/dl以下の場合は、意識レベルの低下やけいれん、せん妄、見当識障害などが起こり、昏睡することもあります。
低血糖になった際の対処方法
意識があるとき
症状があらわれたら、すぐに5〜10gのブドウ糖、ブドウ糖を含む清涼飲料水(150〜200mL)、10〜20gの砂糖のいずれかをとって、安静にしましょう。15分ほど経過しても改善が見られない場合は、もう一度同じ量のブドウ糖・清涼飲料水・砂糖をとってください。それでも回復しないようであれば、すぐに医療機関への受診が必要です。
意識がもうろうとしており、自分では対応ができないとき
自分の力でブドウ糖を飲めないときは、家族や身近にいる人に口に含ませてもらいましょう。飲み込むのが難しいのであれば、ブドウ糖や砂糖を口びるや歯肉に塗りつけてもらってください。1型糖尿病や重篤な低血糖を引き起こす可能性が高い方は、グルカゴン1バイアル(1mg)を家族や身近な人に注射してもらうのが望ましい対処法です。その後、すぐに主治医に連絡を取って受診するか、近くの医療機関を救急受診します。
日ごろからできる予防法
低血糖を起こしたくない方は、日ごろの備えや工夫が必要です。主治医と、薬の量や食事療法の仕方などを相談しておくと良いでしょう。
運動時の低血糖を予防するには
運動時に低血糖を起こしやすい方は、空腹時の運動を控えましょう。可能な方は、負荷のかかる運動の前と途中で血糖値を測ると予防できます。1型糖尿病の方、SU薬を使っている方、インスリンを使用している方は、必要に応じて補食をとるようにしてください。
運転する際にできる予防法
運転をする方は、ブドウ糖やブドウ糖の多い食品を車に常備しておきましょう。運転中に低血糖になりそうな気配があればハザードランプを点滅させて、車を路肩にとめます。その後、すぐにブドウ糖やブドウ糖を含んだ食品を摂取してください。運転は、症状が改善してから再開しましょう。低血糖になりやすい方は、空腹時の運転を避けるか、糖分を含むものをとって運転することが大切です。